2013/06/08

ANTIVIRAL

先日、渋谷のシネマライズで観てきました。
この日は火曜日で、シネマライズか下高井戸シネマかどちらか行こうかな~と朝の通勤時間に考えていて。サービスデーだから。その時点でアンチヴァイラルはディヴィッド・クローネンバーグの息子が監督、正直クローネンバーグの映画ってそんなに観たことないしなぁ、というテンションだったのですが、その日下高井戸シネマで上映していたのはレ・ミゼラブル…両極端だな!観たいことは観たいけど、平日に大号泣して目腫れたら嫌だし、疲れそうだよな…と選びかねて、そこでやっとアンチヴァイラルの予告を観ました。電車の中で。めちゃかっこいい。




※以下ネタバレ部分もあるのでご注意を




セレブ人気が激化した近未来、セレブが感染したウイルスを商品として業績を伸ばしている"ルーカス・クリニック"。そこで注射技師として働くシド・マーチ(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は、商品であるウイルスを自分に注射、発症したら再度ウイルスを採取、自宅へこっそりと持ち帰った機械でコピーガードを外すことでそのウイルスを密に売りさばいていた。
ルーカス・クリニックの看板商品は、専属契約を結んでいるハンナ・ガイスト(サラ・ガドン)のウイルス。ハンナがなんらかの病気にかかると、即クリニックへ連絡がきて、ウイルスを採取に伺うシステム。いつもその業務を担当していた男が密売容疑で逮捕されたため、シドが代わりに命じられる。
ハンナに対して、ビジネス以上の特別な想いを抱いていたシドは、採取したばかりの血液を自らに注入してしまう。甘美な快楽もつかの間、幻覚症状に襲われ意識を失うシド。しばらくして目が覚めた時、テレビのニュースではハンナ死亡を報じており、ハンナの最後のウイルスを保持しているシドは様々な陰謀に巻き込まれていく。



といった感じのお話です。


正直、ストーリーや設定的に面白いのは上記の部分までだけで、後半巻き込まれる様々な陰謀のところは特に驚きもないし予想できる範囲でした。
でも、一見「現代のセレブ人気への風刺」だとか言われそうな設定も(実際そういうメッセージがあるのかどうかはさておき)、説教臭くなかったし、肉体へのフェティシズムへ傾倒していく感じがすごくよかった。もう、ストーリー放置してどんどんフェチな方向へ、映像だけ全速力みたいな感じなの。

真っ白で清潔な部屋に映える吐血、美しいハンナの唇から溢れる吐血、シドの白いタンクトップに吐血…!白と赤のコントラストに拘ったような映像が本当に素敵だった!血の色と、サラ・ガドンのブロンド×赤いリップ以外には鮮やかな色を全部排除していたと思う。服もみんな黒とか白とかばかりだったし。


そうそう服と言えば、ケイレブのスーツ姿細長い感じでめちゃかっこよかったんだけど、ちょっとオーバーサイズ気味なコートがよかった。マフラーも巻いて、口に体温計咥えている姿にかなりグッときました…そしてロン毛の男性に目が無いわたしです。

かわいい。
いっつも体調不良なのに体温測る意味あるのか?ってちょっと思ってしまったけど。そんなところからも、とことんビジュアルに拘って作られた映画なんじゃないかなぁって感じました。
注射のシーンが多くて、"ヴァンパイア"の時と同様目を覆い続けましたが、映画館で観れてよかったです。

余談ですが、サラ・ガドンはディヴィッドの作品"危険なメソッド"にも出ているみたいですね。フロイトとユングの話のやつ?だっけ?今度観たい。

サラ・ガドンの完璧な美しさは、完璧すぎて生々しさがなく、色気とかを排除した感じで撮られていてそこもよかったです。肉体的な繋がりを排除することで、よりウイルスや血液での交わりが官能的になるというか。

ケイレブの病気っぷりはなかなか狂ってました。ホラー映画顔負け。
そういえば、オフィシャルのtrailerはものすごくホラー映画っぽい。